- 伊勢現代美術館・開館20周年記念 -
日本 - ヨーロッパ対話型美術展
RESONATING VIEWS
- 響き合う視線
【会 期】2023年4月8日(土) 〜 6月4日(日)
【会 場】本館1F / 展示室
【休館日】火・水曜 (祝日は開館)、4/24・27・5/1・8
協力:アダム・ミツキエヴィチ・インスティトュート、ポズナニ芸術大学、東京大学駒場博物館
後援:ポーランド広報文化センター
Resonating Views
響き合う視線
日本とヨーロッパの貴重な繋がりを称え、世代間・文化間の共鳴を見出す展覧会。
2018年開催の「ポーランド現代作家6人展 - Reversed Seeing - 逆さまに見ること」のコンセプトを継承しながら、新たなアーティストを加えて開催します。
参加アーティストの異なる姿勢や表現形式は、音と映像または絵画・楽譜・インスタレーション・コンセプチュアルアートなどのインターフェースにおける、学際的・実験的探究と関連します。
20世紀と21世紀の変わり目にある美術史や、当時のヨーロッパと日本の文化交流の経験という、広い文脈の中で生み出された過去のユニークな作品と共に、新たに制作された現代の作品を共鳴させることを試みます。
Resonating Views
[Japanese-European Art Dialogues]
The exhibition refers in concept to the presentation Reversed Seeing (also shown at the Contemporary Art Museum ISE in 2018), which featured artists associated with Galeria Naprzeciw: Natalia Brandt, Maryna Mazur, Wojciech Gorączniak, Mikołaj Poliński, Paweł Polus, Misa Shimomura and Jarosław Szelest. In addition to the previously exhibiting artists, the following guests were invited to participate in the latest show: Jarosław Kozłowski, who made available works from his NET Collection and the Collection of Galeria Akumulatory 2: art collective - The Play, Koji Kamoji, Akiro Komoto, Yoko Ono and Kishio Suga.
Martin Riches (who also presented his pieces at Galeria Naprzeciw) who realised the work in collaboration with Masahiro Miwa.
Norio Imai, an artist associated with the Gutai Group will also participate in the show.
Resonating Views is an attempt to find intergenerational and intercultural resonance.
The different attitudes and forms of artistic expression of the participating artists refer to interdisciplinary and experimental explorations at the interface of sound and image or painting, notation, installation and conceptual art.
This latest exhibition also attempts to resonate newly created current works with those created in the broader context of the history of art at the turn of the 20th and 21st centuries and the experience of cultural exchange between Europe and Japan during this time.
ここが何処かであるとき
(2020年 / インスタレーション)
ナタリア・ブラント
1983年 ポーランド生まれ
2003年〜2009年 ポズナン芸術アカデミーにて絵画、ドローイングを学ぶ
2016年 ポズナン芸術大学にてファインアートの博士号を取得
現在 ポズナン芸術大学 助教授
Wojciech Gorączniak / ボイチェフ・ゴロンチニャック
モノの教訓
(コラージュ・ドローイング・ガッシュ 全49作品 / 2022年・2023年)
ボイチェフ・ゴロンチニャック
1976年 ポーランド生まれ
ポズナン美術アカデミー卒業
2001年 絵画の学位を取得
現在 ポズナン芸術大学 教授
on the roof – 2
(1970 / 写真)
今井 祝雄
1946年 大阪府生まれ
1965年〜1972年 具体美術協会会員
1966年 第10回シェル美術賞一等賞受賞
以来パリ青年ビエンナーレをはじめ、東京国立近代美術館、芦屋市立美術博物館など内外の企画展に出展
新大阪駅前や関西文化学術研究都市などにパブリックアートを制作、大阪市都市環境アメニティ表彰受賞
著書に『白からはじまる - 私の美術ノート』(ブレーンセンター)、
『デイリーポートレイト - 四半世紀・記憶の日記』(スタジオワープ)、『オン・ザ・テーブル - パフォーマンス・イン・ブック』(樹花舎)、『NORIO IMAI』(Axel and May Vervoordt 財団)、『タイムコレクション』(水声社)がある
CIAŁO / SŁOWO (BODY / WORD)
(1980 / インスタレーション)
ヤロスワフ・コズウォフスキ コレクション
鴨治 晃次
1935年 東京生まれ
ポーランド在住60年以上。ポーランドの前衛芸術の最前線で活躍
数多くの個展を開催、ポーランド・ヨーロッパにて多くのグループ展に参加する
1953年〜1958年 武蔵野美術大学卒業
1959年 ポーランドに渡り、ワルシャワ美術アカデミーで学ぶ
1965年以降 ポーランドの現代美術を代表する芸術活動に積極的に参加
1975年 C.K.ノルウィッド批評家賞
2015年 ヤン・サイビス賞受賞
無題
(写真)
無題
(1975 / 写真)
ヤロスワフ・コズウォフスキ コレクション
小本 章
芸術家、写真家
1935年 東京都生まれ、岐阜県関市で育つ
1958年 岐阜大学卒業
1962年まで東京教育大学大学院(現 筑波大学)で学ぶ
1960年代から絵画・版画・写真を制作
1980年代からはスペインをはじめヨーロッパへ招聘されるなど、海外でも高い評価を得る
1971年から岐阜教育大学(現 岐阜聖徳学園大学)、1994年から女子美術大学で教鞭をとる
2017年 逝去
Jarosław Kozłowski / ヤロスワフ・コズウォフスキ
理由のない赤い15個のオブジェクト
理由のない赤い3個のオブジェクト
理由のない赤い1個のオブジェクト
ヤロスワフ・コズウォフスキ
1945年 ポーランド生まれ
ポーランドを代表するコンセプチュアル・アーティストの一人
1971年 国際的な芸術ネットワークNETを立ち上げ、芸術運動フルクサスに参加
1960年代から70年代にかけてはパフォーマンス・アートだけでなく、分析的考察や言語研究にも取り組み、
最も影響力のあるコンセプチュアリストの一人と見なされる
1980年代には、芸術が社会の中でどのように機能しているかを批判する大規模なインスタレーションを制作するようになり、
芸術の脱・神話化に取り組む一連の作品が発表されている
1990年代から現在に至るまで、モダニズムの伝統や芸術の社会的・政治的背景の問題を扱った壮大なインスタレーションを数多く発表
1963年から1969年にかけて、ポズナンの国立視覚芸術大学院(現 ポズナン芸術大学)にて絵画を学ぶ
1967年からは同大学で絵画とドローイングを教え、1981年から1987年にかけては同大学の学長を務める
また、オスロのStatens Kunstakademi (1992-1997)、アムステルダムのRijksakademie vanBeeldende Kunste (1992-2004)、ルサカのAcademy Without Walls (1999、2001)、ポズナンのアダム・ ミツキェヴィチ大学 教育学・美術学部 (2005-2010)にて教鞭をとる
1972年から90年にかけては、ポーランドや世界の前衛芸術家の作品を紹介するAkumulatory ギャラリーをポズナンで設立
1991年 から1993年にかけては、ワルシャワの現代美術センター・ウジャズドフスキ城のギャラリーと共にコレクションのプログラミング・キュレーターを務める
オルタネート・トーン
(アクリル画 / 四角い万華鏡)
メモリーオルゴール
マリーナ・マズール
1982年、ポーランド生まれ
ジェロナ・グラ大学視覚芸術研究所、ポズナン芸術大学卒業
グラフィック・絵画、写真の分野で活躍
現在 ジェロナ・グラ大学視覚芸術研究所グラフィックスタジオ 助教授
ポズナン芸術大学 助教授
BLOOD OBJECT FROM FAMILY ALBUM
(1995 / オブジェクト)
ヤロスワフ・コズウォフスキ コレクション
作品は問いかける、「大切なものを見失っていない?」
女性の内なる怒りを表現した「ファミリー・アルバム」と呼ばれる作品群の1つ
血にまみれた日常雑貨が、家庭の中に隠された暴力を暴く
オノ・ヨーコの作品は、ポーランド国内においては、1977 年にポズナンのAkumulatory 2ギャラリーで開催された国際フルクサス フェスティバル、1990年代にワルシャワの現代美術センターで開催された大規模な個展、そして2022年にポズナンのギャラリーArchive of Ideasで開催された展覧会 Fluxus in Pilsで展示されている
オノ・ヨーコ
1933年 東京都生まれ
芸術家、コンセプチュアル・アートの先駆者
1952年 学習院大学哲学科に入学、翌年 米ニューヨークへ移り住み、サラ ローレンス大学・ハーバード大学で学ぶ
1960年代には前衛芸術グループ「フルクサス」の活動に参加
パフォーマンス・アート「カット・ピース」や、言葉を集めた作品 「グレープフルーツ」などを発表、脚光を浴びる
1966年 ロンドンに活動の場を移す
インディカ・ギャラリーでの個展開催時にジョン・レノンと出会い、1969年に結婚
ジョンと共に前衛的な音楽活動を行う傍ら、平和を訴える活動を世界規模で展開
現在に至るまで、平和を求める芸術活動を精力的に行い、2007年にはイマジン・ピース・タワーをアイスランドのレイキャビクに完成させた
JOURNEY
(1969 / ポスター)
PLAY-JOURNEYS
(1977 / ブックダイアリー)
ヤロスワフ・コズウォフスキ コレクション
ザ・プレイ
1967年から関西を拠点に活動する、池水慶一を中心とした美術家集団
プロジェクトごとに人を募り、メンバーは流動的。形に残る何かを制作するのではなく「体験すること」に取り組み続け、これまでの参加人数は100名を超える
1967年開催の「第1回PLAY展」では、神戸市三宮の東遊園地にて3日間1時間ずつ、参加者それぞれがハプニングを繰り広げた
2016~17年にかけ、ザ・プレイの活動を振り返る美術館での初個展が国立国際美術館(大阪)にて開催、印刷物・記録写真・記録映像・音声記録・原寸大資料などが展示された
Mikołaj Poliński / ミコライ・ポリンスキー
10秒のポーランドの雨
(既成の楽譜・雨・ドローイング)
ミコライ・ポリンスキー
1977年 ポーランド生まれ
ポズナン芸術大学卒業後、ベルリン芸術大学に留学
ドローイング(絵画)・オブジェクト・建築要素から構築される、空間構成を生み出す画家であり、
時には作品の置かれる場所にも介入、視覚芸術と音楽との境界を重視している
2003年よりギャラリー「Galeria Naprzeciw」を運営、ポズナンのアーセナル市立美術館内の展示プログラム「Galeria Aneks」、ベルリンの ギャラリー Haus am Lützowplatz、伊勢現代美術館などでもキュレーターとしてプロジェクトに携わる
現在、 ポズナン芸術大学絵画科教授、ポズナンとベルリンを拠点に活動する
百科事典の図
作品1. 層状図・2023 鉛筆・マウントボード(フレーム)
作品2. 層状図・ 2023 鉛筆・マウントボード(フレーム)
作品3. 百科事典の図 (三角法) 2023 オイルペイント,コラージュ(フレーム)
作品4. 百科事典の図 (三角法 2) 2023 オイルペイント・コラージュ(フレーム)
作品5. 百科事典の図 (円錐曲線) 2023 オイルペイント・コラージュ(フレーム
ENCYCLOPEDIC DRAWINGS(百科事典の図)
パヴェル・ポルス
1979年、ポーランド生まれ
1999年から2004年まで、ポズナン美術アカデミー(現ポズナン 芸術大学)でグラフィックアートとプリントメイキングを学ぶ
2008年から同校で教鞭をとる。ドローイング・インスタレーション・ペインティング・アートブックなどの作品を発表
ポーランド・ドイツ・スイス・日本・韓国など、多くの個展やグループ展で作品を発表
ポズナンを拠点に活動する
+
Thinking Machine
(楽器インスタレーション)
東京大学駒場博物館 所蔵品
“Thinking Machine”は、三輪眞弘のリバース・シミュレーション・プロジェクトの一環として、マーティン・リッチズが設計と製作を行った作品。このプロジェクトでは、まず音楽作品をアルゴリズムとして考え、コンピュータ上でシミュレーションを行い、その後 演奏者や機械によって演奏され“逆シミュレーション”される。 この“機械”は、転がるボールを使い、アルゴリズムに従って3つのチューブラーベル(金属製打楽器)を演奏する。
マーティン・リッチズ
1942年 イギリス生まれ、ベルリン在住
1972年からアーティストとして活動、サウンドアートやキネティックアート・音声学・またその他の様々なプロジェクトなど、複数の分野で活動している
作曲家・音楽家・声楽家とのコラボレーションが特徴で、シャン・トーザー、トム・ ジョンソン、三輪眞弘、後藤英、足立智美、ユトゥ・ワッセルマンなどが参加している
作品はドイツ全土をはじめヨーロッパ20ヵ国、ニューヨーク科学館でも展示されており、日本での活動は東京大学駒場博物館、京都精華大学での展覧会や、東京芸術大学での講演などがある
機械設計と建設、木材、 金属、プラスチックの加工、アセンブラ言語を含むプログラミングに長け、電子工学の実用的な知識をも持つ
三輪 眞弘
作曲家
コンピュータを用いたアルゴリズミック・コンポジションと呼ばれる手法で数多くの作品を発表
第10回入野賞1位、第14回ルイジ・ルッソロ国際音楽コンクール1位、第14回芥川作曲賞受賞
2010年 度芸術選奨文部科学大臣賞(芸術振興部門)
2007年 “逆シミュレーション音楽”がアルス・エレクトロニカのデジタルミュージック部門にてゴールデン・ニカ賞(グランプリ)、2020年第52回サント リー音楽賞など受賞
二つの石 - 五つのピアノ変奏曲
(2023)
下村美佐
1977年 三重県生まれ、ベルリン在住
ピアニスト、作曲家、即興音楽家
過去20年間、フリーインプロヴィゼーションと現代アートシーンを中心に活動する。
近年は、音の知覚に関わる生理学を含む物理的な空間と音響の関係、そして新しい楽器を用いての実験的な試みなどに興味を持つ
ポーランド、日本、ドイツ、スイスでのコンサート、また映像作品やラジオでの音楽提供など、様々な分野とのコラボレーションを行なっている
これまでに、数々の音に関するワークショップを開催、日頃はピアノ講師としても活動する
LAYER AND PHASE
(1977 / 紙のオブジェクト)
無題
(1977 / 縄のオブジェクト)
ヤロスワフ・コズウォフスキ コレクション
菅 木志雄
1944年 岩手県生まれ
李禹煥や関根伸夫などと共に「もの派」を代表するアーティスト
木や石、金属などの自然物・人工素材を、加工せずに空間に配置し、そこで生まれる光景を“状況(景) ”と呼んで作品化してきた
1974年からは、すでに設置されたものを新たに置きかえ、空間を活性化させる「アクティヴェイション」と呼ぶ行為を展開
これまで数多くの個展・グループ展に参加してきたが、2012年にロサンゼルスのBlum & Poeで行われた「太陽へのレクイエム:もの派の美術」への参加をきっかけに、アメリカにおける再評価の機運が高まった
その後、同年ニューヨーク近代美術館で開催された「Tokyo 1955-1970: A New Avant-Garde」に参加
2016年 にはイタリア・ミラノのピレリ・ハンガービコッカで大規模個展「Situations」が開催
また、2017年の第57回 ヴェネチア・ビエンナーレ「VIVA ARTE VIVA」にも出展作家として参加
2008年 栃木県那須塩原市に菅の作品を常時展示するスペース「菅木志雄 倉庫美術館」が開館
2016年 毎日芸術賞受賞
不可能な音楽の仮説的表記法
(2023 / ドローイング・インスタレーション・オブジェクト)
ヤロスワフ・シェレスト
1975年 ポーランド生まれ
1996年から2001年にかけて、ポズナンの美術アカデミー(現芸術大学)で学ぶ
2011年からはドローイングの指導にあたる
ポズナンとポビディスカに在住し、制作活動を行っている。
出 展 作 品 作 家
・Natalia Brandt(ナタリア・ブラント)
・Wojciech Gorączniak(ボイチェフ・ゴロンチニャック)
・Norio Imai(今井 祝雄)
・Koji Kamoji(鴨治 晃次)
・Akira Komoto(小本 章)
・Jaroslaw Kozlowski(ヤロスワフ・コズウォフスキ)
・Maryna Mazur(マリーナ・マズール)
・Yoko Ono(オノヨーコ)
・The Play(ザ プレイ)
・Mikołaj Polinski(ミコライ・ポリンスキー)
・Pawel Polus(パヴェル・ポルス)
・Misa Shimomura (下村 美佐)
・Martin Riches(マーティン・リッチズ)
・Masahiro Miwa(三輪 眞弘)
・Kishio Suga(菅 木志雄)
・Jarosław Szelest(ヤロスワフ・シェレスト)
ヤロスワフ・コズロフスキーよりコメント
本展に出品された日本人アーティストは、ポーランドで高く評価されています。
1970年代後半、小本章、菅木志雄、アート グループ「The Play」など、松澤 宥の推薦により著名な芸術家たちの個展が、ポズナンの Akumulatory 2 ギャラリーで開催されました。
その後、21世紀初頭、ワルシャワの国立現代美術館「Zachęta」とクラクフの現代美術館「MOCAK」で開催されたグループ展「Beyond Corrupted Eye」において、それらの作品が展示されています。
また、オノ・ヨーコの作品は、1977 年にポズナンのAkumulatory 2 ギャラリーで開催された国際フルクサス フェスティバル、1990 年代にはワルシャワの現代美術センターで開催された大規模な個展、そして2022 年 にポズナンの ギャラリーArchive of Ideasでの展覧会「Fluxus in Pils」で展示されています。
鴨治 晃次は、ポーランド在住50年以上の日本人アーティストです。 彼はポーランドの前衛芸術の最前線で 活躍し、数多くの個展を開催しており、ポーランドとヨーロッパでの多くのグループ展にも参加しています。