top of page

小 塚 康 成 展

【会 期】2024年8月17日(土) 〜 9月16日(月・祝) 

【会 場】本館1F / 展示室

【休館日】火・水曜 定休・8/10〜16・8/29

小塚康成 展.png

小 塚 康 成 展

展覧会によせて

 

 

 

雨で霞んだ風景や霧を通して見える曖昧な自然の見え方に興味を持って制作している。

これら自然現象が与える視覚的で体感的な要素は、見るものを惹きつけ、人々の感情に深く浸透し、訴えるものがあると考えている。

 

私の美に対する考え方の一つとして、「奥行き」というものが大きな位置を占めている。奥行きへの追求は、ずっと変わらないテーマである。

かつてはキャンバス上でグレージングによるにじみやぼかしを使って表現していたが、ここ数年は極薄の雁皮紙に画像を転写し、何枚も重ねることを試みている。重ねるごとに奥行きと抽象性が生まれ不確かなものとなっていく。そこに興味を感じている。完成のイメージを持って取りかかるものの、現像のプロセスにおいてはコントロールできない部分もあり、イメージが近づいては消え、 掴もうとすれば遠のいたりする。制作のプロセスがまさに霧と戯れているような感覚である。

 

作品で使用しているモチーフは身近な自然であり、植物や風景である。樹形をモチーフにしているものは主にドイツで撮影したものである。特に冬の空を背景に見上げた樹々の姿は、まるでその姿を空に刻印したかのように、はっきりと浮かび上がり印象的である。樹形の枝ぶりは日本のものより繊細でしなやかなものが多く、実に様々なインスピレーションを与えてくれる。よって、ドイツに足を運ぶ時期は、そのほとんどが冬である。街の喧騒を後に郊外の森へ向かう。冷たい空気と静寂が支配する広大な森は、まるで時間が止まったような世界となる。日照時間も短く、日中でも夕暮れのような暗さと寒さが身を包む。時として深い霧に覆われることもあるが、それを期待するかのように森に佇みその時を待つ。ひとたび霧となればそれはまるで水墨画の世界に入り込んだとでも言おうか、その深遠な奥行きを視覚だけでなく体で感じることができるのである。これらの体験が私の作品に影響していることは間違いないと考えている。

 

 

小塚康成

Blumenstrauss.1.jpg

Blumenstrauss(雁皮紙にサイアノタイプ)

Blumenstrauss.jpg

Blumenstrauss(雁皮紙にサイアノタイプ)

work_6.jpg

No title(雁皮紙にヴァンダイクブラウンプリント)

work_24.jpg

No title(雁皮紙にヴァンダイクブラウンプリント)

work_3.jpg

No title(雁皮紙にヴァンダイクブラウンプリント)

work_27.jpg

Landscape Kushiro(雁皮紙にヴァンダイクブラウンプリント)

No title(雁皮紙にヴァンダイクブラウンプリント)

小 塚 康 成

KOZUKA Yasunari
​Artist

1969 愛知県名古屋市生まれ

 

1994 東京造形大学 造形学部 美術学科 版表現 修了

2016 ブルクギービッヒェンシュタイン美術大学(ドイツ)1年間留学

 

 

 

 

-主な展覧会 - 

 

2017 第6回都美セレクショングループ展「エピクロスの空き地」(東京)

2018 個展(マリーギャラリー / 東京)

    マルツィアートギャラリー(ハンブルク/ドイツ)

2019 ガレリア・デ・メルチ、ミニフォーマット展(ボローニャ/イタリア)

2021 マルツィアートギャラリー(ハンブルク/ドイツ)

    個展(マリーギャラリー / 東京)

2023 エッセンコンテンポラリーアートフェアC.A.R(エッセン/ドイツ)

    個展(ウエストベスギャラリーコヅカ / 名古屋)

    第4回公募アートハウスおやべ現代造形展(富山)

    第36回全国和紙画展(岐阜)

2024 語り合う相手としての自然 北海道東川町せんとぴゅあギャラリー(北海道)

    第36回全国和紙画展入選作品展(東京)

 

 

 

 

-パブリックコレクション - 

 

町田市国際版画美術館 (東京)

光明寺アートミュージアム(愛知)

work_16.jpg

No title(キャンバスに油彩)

bottom of page